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「コテカ(Koteka)」は、世界第二の巨島・ニューギニアの中央高地に暮らす人々がかつて男性用下着(ペニスケース)として使用していたものです。写真のコテカは、インドネシア最東端に位置するパプア(旧イリアンジャヤ)州の中央高地の一県であるジャヤウィジャヤ県からやってきました。今日のジャヤヤウィジャヤ県では、すでに衣服文化が浸透しており、ダニ族、ラニ族、ヤリ族などの間で、ごく少数の男性が着用するのみです。同様のことがパニアイ県やプンチャクジャヤ県でも言えます。ウリ科の一種を囲炉裏の温かい灰で蒸してから中身を掻き出して作製します。実際に使用するコテカ自体に模様を入れたり、彩色することはありません。しかしながら、ジャヤウィジャヤ県の県都ワメナのナヤック市場や、州都ジャヤプラにあるハマディ市場で、観光客のお土産用として彩色されたコテカが出回っており容易に入手することができるのも事実です。コテカは、その形から大きく分けて「ルルス(Lurus=まっすぐ)」と「ベンコック(Bengkok=曲がっている)」の二種類に分けることができます。一般的には、お年寄りがベンコック・タイプを好みます。
写真のコテカは、実際に男性下着として使用するためのものではなく、標高1500メートルの、バリエム川を中心に広がるワメナ盆地に暮らすダニ族やラニ族が、祭儀用に特別に製作したものです。通常コテカに使用するウリは、成長しても平均で長さが70-80cm、太さは大きくても直径が8-10cmですが、このコテカの場合、どのように栽培したのかは不明ですが、そのサイズはまさにワメナ盆地随一といっても過言ではないものです。長さは64.5cmと長さこそ“標準”サイズですが、その太さの異常なこと!底部の最大直径はなんと17.5cmもあります、そして上端の開口部の直径が約4.5cm。重さはおよそ340グラム。祭儀用のため、特別な装飾がなされています。特筆すべきは、その見事な彫刻でしょう。表面がまだ柔らかい段階で、動物の牙や、竹片などを用いて、模様が彫り込まれています。また、中央付近には、樹皮繊維で撚った糸を使い、帯が巻かれています。そして帯の一端はウサギの毛が取り付けてあります。子供の頭ならすぽっと入ってしまいそうな大きさ。“巨根信仰”を感じさせる逸品です。比較のために、実際に使われている仕様のコテカ(長さ51cm、開口部直径約5.0cm)をお付けします。
(注)上端部に計五箇所の極細の亀裂が見られますが、修復してあります。予めご了承お願いします。
インドネシア文化宮GBI=Graha Budaya Indonesia)は、インドネシアの24時間ニューステレビ局『メトロTV』東京支局がプロデュースするインドネシア情報発信基地です。
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